「損失補償」と「損害賠償」の違いについて
2019年07月05日/ 補償等に関する業務関係
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「損失補償」と「損害賠償」は、よく聞く言葉であるが、その意味をよくは分からないで使っているのでないかと思う場合がある。
そこで今回は、公共事業のために必要な用地の取得とそれに伴う「損失補償」について述べる。
1.まず「損失補償」とは、有力説によると「適法な公権力によって加えられた財産上の特別の損失に対し、全体的な公平負担の見地からこれを調整するためにする財産的補償をいう。」ものと定義されている。
「損失補償」の特色としては
①適法行為による損失の補償であること
②公権力の行使に基づく損失の補償であること
③財産上の特別の損失に対する補償であること
このことから、適法行為であることが「損失補償」であることが分かる。
2.次に、「損失補償」と「損害賠償」について、「国家補償」の観点から述べる。
「国家補償」とは、国や地方公共団体の行政作用により生じた損害又は損失の補填を総称して「国家補償」と呼ぶ。
従来、これらは次に示す二つの異なる法形態により区分されてきた。
①不法行為に基づく損害賠償
・不法行為に基づく損害賠償が、個人的・道義的責任主義を根底に置いている。
・憲法第17条を基礎とし、国家賠償法や民法の不法行為の規定等が規律している。
②適法行為に基づく損失補償
・違法行為による損失補償は、団体主義思想を基礎とし、社会的公平負担の実現を基礎理念としている。
・憲法第29条第3項を中心とした法令が規律している。
3.最近では、公共事業の施行に伴う日陰、臭気、騒音、水質の汚濁等により第三者に生ずる損失又は損害(いわゆる「事業損失」)が生じ、その被害者に対して補填の必要性がある場合において、その救済を
①損害賠償の法的枠組みの中で考えるべきか
②損失補償の法的枠組みの中で考えるべきか
③そのいずれにも当たらない結果責任の一種として理解すべきか
について、学説上、対立がある。
実務上は、「これらの損害等が社会性格上受忍すべき範囲を超えるものである場合には、別途、損害賠償の請求が認められることもあるので、これらの損害等の発生が確実に予見される場合には、予めこれらについて賠償することは差し支えない」として、損害賠償の枠内における一定の要件の下での事前賠償により対応することとしている。
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Posted by Seijun Kina at 14:26│Comments(0)