財産権と正当な補償

Seijun Kina

2011年12月08日 07:56

 憲法第29条1項は「財産権は、これを侵してはならない。」とし、私有財産制度を制度的に保障するとともに、社会的経済的活動の基礎をなす国民の個々の財産権につきこれを基本的人権として保障している。(最判昭62.4.22)
 所謂、これが「財産権不可侵の原則」である。

 しかし、その保障は絶対無制約のものではなく、2項に「財産権の内容は、公共の福祉に適用するように、法律でこれを定める。」と規定され、1項の不可侵性に対して公共の福祉の要請による制約を許容したものにほかならない。
 最高裁判例(最判昭35.6.15)では、「法律で財産上の権利につき使用、収益、処分の方法に制約を加えることがあっても、それが公共の福祉に適合するものと基礎付けられえいる限り、当然なしうるところである。」

 一方、3項は「私有財産は、正当な補償の下に、これを公共のために用いることができる。」としており、財産権を公共の利益のために、正当な補償を行った上で収用したり(公用収用)、制限したり(公用制限)することが認められている。
 ここで「正当な補償」を必要とするのは、財産権者に「特別の犠牲」が加えられた場合であると一般に解されている。
 「特別の犠牲」の判断は、侵害行為が。特定人又は特定の範疇に属する人を対象としているかどうか(形式的基準)、及び侵害行為が財産権の本質的内容を侵すほど強度であるかどうかなどで判断することとなる。

 3項の「正当は補償」の解釈については、生じた損失のすべてについての完全な補償を要するとする「完全補償説」があり、土地収用法における損失の補償については、判例は完全補償説に立っている(最判昭48.10.18)。
 判例を記すると「収用の前後を通じて被収用者の財産価値を等しくならしめるような補償をすべきであり、金銭を持って補償する場合には、被収用者が近傍において被収用地と同等の代替地を取得することをうるに足りる金額の補償を要する。」となっている。


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